エアコン選びのイメージ

エアコンの選び方

目次

  1. はじめに
  2. 機種の選び方 ― 畳数・グレード・メーカー
  3. 設置工事で必要になる追加費用
  4. 工事が一発で終わらない/取り付け不可になるケース
  5. 夏を快適に過ごすために
  6. 最後に

はじめに

「今年の夏こそエアコンを買い替えよう」――そう考える方は多いのではないでしょうか。

正直に申し上げると、エアコンの機種選びはプロの目線でも難しいです。

難しいと感じる理由の一つが、夏の平均気温の変化です。実は、ここ20年で日本の夏の平均気温は地域によっては約3℃前後上昇しています。設置から5年前後しか経っていないのに、効きが悪くなったという相談も増えてきました。真夏の日中には室内の温度が35℃近くまで上がることもあり、扇風機だけでは対応できなくなっています。

もう一つの理由は、住宅環境の変化です。昔は断熱性の低い木造住宅が多かったため、能力不足で非効率な運転になりやすかったのです。

今では、エアコンはもはや「快適に過ごすための家電」ではなく、体調や命を守るための必需品です。特に高齢者や小さな子どものいる家庭では、数日間エアコンが使えないだけで体調を崩すリスクがあります。

しかし、いざ購入しても「畳数の選び方を間違えた」「追加工事が必要で予算をオーバーした」「取り付けが一発で終わらず日延べになった」といったトラブルは後を絶ちません。

そこで本記事では、現役の家電販売員としての経験と、各メーカー・主要家電量販店の公開情報をもとに、エアコンの正しい選び方(畳数・グレード・メーカー)、設置工事でかかる追加費用の目安、工事が一発で終わらない典型的なケースとその回避方法の3つを柱に、購入前に知っておくべき知識をまとめます。


機種の選び方 ― 畳数・グレード・メーカー

1. 対応畳数をどう考えるか

エアコンを選ぶとき、まず目に入るのが「6畳用」「12畳用」といった対応畳数の表記です。

しかし、この基準はもともと断熱性の低い1960–70年代基準の住宅を想定して算出されたもので、現代の住宅事情にはそのまま当てはまりません。

近年の新築住宅やリフォーム済み住宅は断熱性能・気密性能が飛躍的に向上しており、表示どおり、あるいは少し小さめの機種でも十分効率的に冷暖房できる場合もあります。

その一方で忘れてはいけないのが、気候の変化です。気象庁のデータによれば、この20年間で日本の夏の平均気温は場所によっては約3℃前後上昇しました。昔は『6畳の部屋に6畳用で十分』だったとしても、真夏の外気温が高くなった現在では冷房能力が足りず、室温が下がりにくいと感じることが増えています。

では、結局何畳用を選べばいいのか?

✅ 結論:畳数選びのポイント

理由としては、住宅もエアコンも昔に比べ、技術が進化しています。従来のエアコンはON/OFF制御が中心で、設定温度に達すると停止し、室温が上がるとフル稼働する仕組みでした。住宅も断熱性が低く、室温を保持できませんでした。

そのため能力が大きすぎる機種を選ぶと「短時間で冷えすぎて止まる → 断熱性が低く、すぐ暑くなって再びフル稼働」という短サイクル運転になり、非効率でした。エアコンはフル稼働時に電力消費が多くなる為、フル稼働の時間をいかに減らすかが省エネに直結します。今のエアコンはインバーター制御によって出力を細かく調整し、弱運転で室温を一定に保つことが可能になり、省エネ性能が向上しています。

そのため、多少大きめの機種を選んでも「能力過多で非効率」になりにくく、安定した運転ができるようになっています。この先の10年を考えたときに、今よりさらに夏の平均気温が高くなる可能性を考えると、少し強めのエアコンを選んでおいた方が安心感があります。

⚠️ また、安さを優先するあまり「10畳の部屋だけど6畳用で十分」といったように、本来必要な能力より小さい機種を選ぼうとされるお客様もいます。しかし能力不足のエアコンでは、結局冷えにくく不満やトラブルにつながりやすいのが実情です。実際に家電量販店では、後々のクレームを避けるため、明らかに能力が不足している機種の場合は現場で設置をお断りする場合があります。

能力不足エアコンの主なデメリット

❄️
快適性の問題
  • 部屋が冷えにくい・暖まりにくい
    真夏や真冬には設定温度までなかなか届かず、「効きが悪い」と感じやすくなります。
  • 騒音が大きくなる
    パワーを強く維持する時間が長いため、室内機や室外機の音が気になりやすくなります。
💰
コストの問題
  • 電気代がかえって高くなる
    能力不足のエアコンは設定温度に達するまでのフル稼働が長引き、結果的に消費電力が増えて電気代が高くなる傾向があります。「小さい機種=省エネ」というのは誤解です。
  • 後悔・買い直しにつながる
    小さい機種で安く済ませようとしても、思ったほど冷えず、電気代もかさみ、トラブルも増えて、結局は早めの買い替えにつながってしまうことがあります。
⚠️
機器トラブルのリスク
  • エアコン本体の寿命が短くなる
    出力の高い運転を続ける時間が長くなるため、コンプレッサーや部品に負担がかかり、故障リスクが高まります。
  • 結露・水滴トラブル
    夏場は熱交換器や吹き出し口に水滴が多く発生し、ドレン処理が追いつかないと水漏れや吹き出し口から水滴が飛ぶことがあります。内部に湿気がこもりやすく、カビや臭いの原因にもなります。

2. グレードで変わる機能と快適性

エアコンには価格帯ごとに大きな違いがあります。

エントリーモデル

冷暖房の基本機能のみ。フィルターの自動掃除機能も無く、シンプルなモデル。寝室や個室など、長時間の使用が少ない部屋や、夜間のみ使用する部屋用に選ばれることが多い。

ミドルモデル

フィルターの自動清掃機能が付く機種が多い。省エネ性能はエントリーモデルとさほど変わらない。メーカーによって特徴の方向性が異なる。

ハイエンドモデル

暖房性能が大きく向上しており、寒冷地でも安心して使える。
省エネ性能も高いため、冷房も暖房もエアコンでまかなう家庭なら、長く使えば電気代の差で購入費用を取り戻せる。
メーカーごとに違いはあるが、快適性(気流制御や温度調整)や清潔性(自動掃除・防カビ機能など)がさらに充実している。

💡 グレード選びのポイント

短期的な価格よりも、10年間の電気代と快適さを考えれば「ハイエンドモデル」を選ぶメリットは大きいです。

3. メーカーごとの特徴(機種によって実装されていない機能もあります。)

ダイキン

  • スイングコンプレッサーが優秀。「高耐久、低振動・低騒音、省エネ」を売りにしている。
  • 空調専業メーカーとして世界的にシェアを持ち、住宅用から業務用まで幅広く展開。
  • 独自の「うるるとさらら」シリーズでは、加湿・除湿機能を強化。冬場の乾燥や夏場のジメジメに強い。
  • 室外機の信頼性が高く、酷暑や極寒でも安定運転できる点で「プロに選ばれるエアコン」とも言われる。

日立

  • 「白くまくん」シリーズで知られ、内部の清潔性を重視。
  • 凍結洗浄により熱交換器を一度凍らせて汚れを浮かせ、解凍する際に一気に洗い流す独自機能を持つ。ホコリや油汚れを除去し、性能低下を防ぐ。
  • ステンレス・クリーンシステムで菌やカビの繁殖を抑え、清潔志向のユーザーに人気。

パナソニック

  • 「エオリア」ブランドで幅広いラインアップ。
  • ナノイーXで菌・ウイルス・花粉・臭いを抑制。美肌・美髪効果を訴求する点がユニーク。
  • ハイエンドモデルのエネチャージシステムでは、暖房運転時にコンプレッサーを制御して多めに熱を集め、その余分な熱を一時的に蓄えて霜取り運転時にその熱を使うことで、ノンストップ暖房を実現している。霜取り中でも部屋が冷え込まず、省エネと快適性を両立している。

三菱電機

  • 「霧ヶ峰」ブランドで長年支持され、センサー制御に特化。
  • ハイエンドモデルのムーブアイ極は赤外線センサーで人の体温や部屋の温度分布を把握し、最適な風を届ける。
  • 一部の機種は内部の清掃をユーザー自身で行いやすい設計になっている。

シャープ

  • プラズマクラスターを搭載し、除菌・脱臭効果を打ち出す。
  • 部屋干し臭や生活臭を抑える効果が期待できる。

富士通ゼネラル

  • 「ノクリア」シリーズを展開。
  • コンパクト設計のモデルがあり、設置スペースが限られる住宅に導入しやすい。
  • 一部モデルのデュアルブラスター(左右両側からの気流制御)により、部屋全体を効率よく空調できる点が特徴。

東芝

  • 「大清快」ブランドで展開。
  • プラズマ空清により、フィルターだけでなくイオンも使って空気を浄化。
  • 無風感冷房を実現する「快適気流制御」により、冷えすぎを抑えて自然な涼しさを提供。
🏬 販売員のアドバイスを活用する際の注意点

各メーカーにはそれぞれ独自の強みがありますが、大切なのは自分や家族の暮らし方に合ったエアコンを選ぶことです。種類が非常に多いため、家電量販店で販売員のアドバイスを聞くのも有効です。

⚠️ 注意:メーカーから派遣されている販売スタッフは自社製品を強く勧めることが多いため、話を聞く際はその点も踏まえて判断しましょう。


設置工事で必要になる追加費用

エアコンは「本体価格」だけで選んでしまうと、後から思わぬ出費に直面することがあります。実際に量販店の現場でも「広告の値段だけで決めたけれど、工事当日に数万円追加された」という声は珍しくありません。これは、エアコンの取り付けには標準工事の他に追加工事が発生する可能性があるからです。

ここでは、主要家電量販店の公式情報をもとに、追加費用の目安を整理しました。購入前に把握しておくことで、「知らなかったせいで損をした気分になった」という後悔を防げます。

1. 標準工事費(基本パック)

一般的に、標準工事費には以下が含まれます。

エアコン標準工事料金(2025年9月時点)

店舗・業者 2.2〜2.8kW
(6〜10畳)
3.6〜4.0kW
(12〜14畳)
5.6kW
(18畳)
6.3kW〜
(20畳以上)
エディオン 15,400円 17,600円 22,000円 22,000円
ケーズデンキ 16,500円 16,500円 22,000円 22,000円
コジマ×ビックカメラ 15,400円 19,800円 22,000円 22,000円
ノジマデンキ 18,150円 19,800円 21,450円 21,450円
ヤマダデンキ 16,500円 16,500円 22,000円 22,000円
ヨドバシカメラ 10,780円 15,950円 15,950円 15,950円
エアコン本舗 25,300円 25,300円 27,500円 27,500円
その他ネット業者 12,000〜18,000円 15,000〜21,000円 20,000〜30,000円 20,000〜30,000円

補足

2. 追加工事費の代表例

配管延長

延長:1mごとに 2,500〜4,000円。
2階から1階へ配管を立ち下ろす場合などは必須。

化粧カバー(配管カバー)

配管を美しく見せ、紫外線劣化を防ぐため希望されるケースが多い。

コンセント工事・電圧切替

分電盤自体の交換が必要なら3万円以上。

室外機の特殊設置

ドレン水処理

穴あけ工事

高所作業

2階の外壁や屋根に室外機を設置する場合、安全確保のために追加費用が発生します。
目安:3,000〜22,000円

石綿(アスベスト)対応

2006年9月以前に着工の建物で配管穴を新設する際や不随工事で穴あけが必要になる場合、石綿(アスベスト)含有調査が義務付けられました。設計図書等から、石綿が含有していない事が証明できない場合、みなし工事(石綿があるものとして)を行います。
目安:調査・石綿対策工事で1万円以上かかる場合も

💰 追加工事費用の目安

エアコンの設置環境はお住まいの住宅によって大きく変わる為、店舗での把握には限界があります。そのため、お伺いの当日に追加の工事が必要となる場合があります。

💡 「追加費用の可能性」を頭に入れておくことで、当日のトラブルの回避に繋がります。
当日の追加工事が不安な方は、事前見積もりを活用するとよいでしょう。


工事が一発で終わらない/取り付け不可になるケース

エアコンを購入したのに「今日は工事できません」「後日あらためて伺います」と言われるのは、もっとも避けたい状況です。特に真夏の猛暑日なら、その数日間をエアコンなしで過ごすのはとてもつらく、健康面にも悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、現場で実際によく起こる「日延べの原因」を整理し、どこまでが当日対応可能で、どんな条件で後日に回されるのかを解説します。

1. 配管穴がない/位置が合わない

2. 専用コンセントがない

専用コンセントとは?

分電盤からそのエアコンだけに電気を供給する「専用回路」を指します。

なぜ必要か?

エアコンは起動時に大きな電流を必要とするため、共用するとブレーカーが頻繁に落ちたり、最悪の場合は発熱・火災のリスクになります。メーカーも取扱説明書で「必ず専用回路を使用」と明記しています。

当日対応できるケース

分電盤に空きがあり、ブレーカー容量が問題ない場合、専用回路の増設・配線工事は即日施工可能です。
一般的な隠蔽配線(天井裏や軒下を通す配線)や屋外配線(外壁に沿って保護管を使う配線)は、現地の状況が良ければ当日そのまま施工できます。

日延べになるケース

3. 室外機の設置場所の問題

ベランダや庭などに十分なスペースがあれば、当日設置に支障はありません。

しかし問題となるのは、設置スペースが狭い場合です。

室外機は冷房時に大量の熱風を排出するため、背面・左右・前方に一定の空間が必要です。

背面5cm以上・左右10cm以上・正面1m以上の空間を確保するのが推奨されています。

狭すぎると冷却効率が落ち、最悪の場合は故障の原因になります。

また、室外機は運転中に微振動を起こすため、壁や手すりに密着していると「ゴーッ」という共振音が響き、騒音トラブルにつながります。

解決策

必要な部材が当日欠品している場合は日延べになることもあります。

4. 高所・屋根置きなど特殊設置

5. 部材や本体の在庫不足

繁忙期には化粧カバーや壁面金具、二段置き台などの部材が欠品することがあります。

エアコン本体の入荷遅延もあり、結果的に工事が後日へ回されることがあります。

6. 天候不良

7. 室内機の設置スペース不足

🔧 工事が日延べになる7つの原因

💡 購入前に、建物構造・分電盤の状態・設置場所の希望・管理規約を販売員に伝えることで、多くのトラブルは回避できます。


夏を快適に過ごすために

ここまで、エアコン選びから工事費用、そして日延べになる典型的なケースまでを整理してきました。最後に、改めて大切なポイントをまとめます。

1. 畳数・グレード・メーカーを正しく選ぶ

2. 追加工事費を理解して予算を組む

3. 工事が一発で終わらないケースを知る

4. 事前準備でトラブルを防ぐ

最も重要なのは、購入前に販売員へ正確に情報を伝えることです。

📸 販売店へ持っていくと良い情報

これらを伝えておけば、工事当日に「できません」と言われる可能性は大きく減ります。

💡 これらを用意して販売店へ向かうと、スムーズに工事できます。

最後に

エアコンは「ただの家電」ではありません。
体調を守り、生活の質を左右する存在です。

購入を検討している方は、

この3つをしっかり店頭で確認することで、購入後の「こんなはずじゃなかった」を防げます。
快適な夏を過ごすために、この記事を参考にエアコン選びを進めてみてください。